時潮

応 能 負 担
税経新人会全国協議会制度部長林 明
3月4日参議院予算委員会での質疑の議事録です。共産党の小池晃議員と小泉首相との、定率減税の廃止をめぐっての質問とその答弁の一部です。谷垣大臣の答弁の後からです。
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○小池晃君
今の説明で全く理解できないですよ。全く説得力ないですよ。私の質問に全く答えていない。― 途中省略 ― 総理にお聞きしたいんですが、これですよ、(資料提示)こういう形で、収入が増えている、あるいは2億円超える収入を得ていて3,000万円減税されている。で、一方で、収入が減っている労働者には増税をかぶせる。何でこっちの減税はそのままにしておいて、こちらの減税だけやめようというのか。国民から見た  ら、こういうときに真っ先にやはりここにメスを入れなきゃいけないんじゃないかというふうに思うの当然じゃないですか。総理、お答えいただきたい。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
― 途中省略 ― 現に、去年の大企業、業績が上がれば、ようやくこれ一般にもいい状況もたらしてくると思います。冬のボーナスは8年ぶりに増えてきました。雇用者の収入もようやく前年に比べて、1% ですけれども増加してまいりました。それ大企業ばっかけしからぬ、けしからぬと共産党は言いますけれども、大企業も企業なんですよ。大企業が、痛め付けて日本の経済発展しますか。大企業が発展して中小企業も潤うようにしていくのがこれから施策として大事なんですよ。

大企業を痛め付けて中小企業の発展ないですよ。関連企業なんです。お互いがやっぱり共存共栄していこうという、そういう対策が必要なんです。日本だけ大企業に重税掛けたら、どんどんどんどん外国に逃げちゃいますよ。そうしたら、雇用の問題にも税収の問題においても産業の発展においても大きな悪影響をもたらします。やっぱり、日本国内だけでなくて、世界全体を見て、どうやって経済を発展させて雇用者の収入を増やしていくかという点も考えていただきたいと思います。
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週刊エコノミスト3月29日号では企業の資金余剰の実態を特集しています。日本銀行の資金循環統計によれば2004年中に企業部門が発生させた余剰金の金額は年間16.2兆円で、結果、積み上がった資金は82兆円になる、という記事です。富の一極集中状態が進行しているのです。

税制は本来、富の再配分を行うべき役割を負っていたはずですが、消費税の導入、法人税や所得税の税率の引下げ等により、その本来の役割は90年代を通じて、減少の一途をたどっていると言えるでしょう。富の再配分のもう一つの柱である、社会保障についても、公的負担は後退するばかりで、代わって受益者負担の名のもと国民負担は増える一方です。

大企業に応分の負担を求めることは、小泉首相の言う、大企業を痛めつけることではありません。そればかりか、現状では大企業の一人「勝ち」状態なわけです。本来政府の果たすべき役割とは、そこに応分の税負担をもとめ、富の再配分を図るということではないでしょうか。
文責はやしあきら大阪会