時潮

社会権が花開く日本を
税経新人会全国協議会研究部長松田 周平
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餓死者がまた出た。それも幼子のいる母子家庭で。家には数百円のお金が残っていただけとか。また数年前には、電気代が払えず蝋燭の灯りを頼りに受験勉強していた中学生が、深夜蝋燭の火が燃え移り焼死した事件もあった。こういう家庭にも消費税は容赦なく、降りかかる。

消費税導入前後に、所得税の最高税率が20%引き下げられた。その恩恵に与ったごく一部の高額所得者は、毎年国から2億円もの『隠れた補助金』を受けている。2億円と言えば、20歳から働き60歳で定年を迎えるサラリーマンが、40年間働いても平均年収500万円が必要であり、人間が一生汗水流しても手に出来ない金額である。それは今も毎年交付されている。

消費税の免税点が引き下げられた。価格に転嫁できない零細業者は、身銭を切って『隠れた補助金』の為に消費税を納付する。しかしそれも限界がある。税率の引き上げが行われるなら、生業を畳まなければならない。生きる術を失うのである。否既に消費税倒産・廃業は始まっている。

いったい政府は、この日本をどういう国にしようとするのだろうか。税制は国創りそのものである。一握りの強者が、多くの弱者を踏み台にする国で良いのだろうか。貧乏な家に生まれても、事業に失敗しても、或いは障害を持った人でも、未来に希望を持って上を向いて歩いていけるような、社会権が満開な桜のように花開く日本にしていきたい。
文責まつだしゅうへい