(1)企業の資本構成及び資本取引 |
企業の情報開示を改善し、企業の資本構成に関する次の現行規制の多くは廃止すること。
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新規発行株式の最低発行価格(5万円)および株式分割時の一株当たりの基準価格に関する規制、 |
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株式資本比率による優先株、ストック・ワラントおよびストック・オプションの発行限度額、 |
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ワラント及びストック・オプションの付与対象者の範囲に関する制限、 |
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株式償還、及び優先株、劣後債、利益配当債、または主要国際証券市場では一般的に受け入れられているその他のエクィティ、債務証券の条件に関する制限、 |
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資本の現物出資に関する裁判所による価格査定手続き、 |
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企業間における双方のクロス・ボーダー による株式持分交換を認める、 |
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企業買収後、少数株主の保有する株式を強制的に提供させることを認め、企業買収が100%株式保有できる
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ことを挙げています。これらの項目は、その後の日本の商法・会社法改正で実現されていくのです。
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(2)企業統治 |
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企業の役員会の独立性、義務及び説明責任を拡大する、 |
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独立取締役によって構成される委員会には、報酬、管理職及び取締役の任命、又は会計監査のような企業統治に関する重要な項目について意思決定する権限を与えること(いわゆる委員会等設置会社の選択)、 |
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株式公開企業の株主総会が、多数の株主の参加にとって明らかに不都合な日に開催することがないような措置を講じる、 |
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企業が、その定款に取締役の条件としてある特定の国籍、あるいはその企業の社員であることに限定するとの条項を盛り込むことを禁止する、 |
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株主総会における電子的手段、ファックス、電話による投票を認め、委任状手続きを改善する |
等々の項目を挙げています。改正が実現した項目も未実現の項目もあります。 |
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(3)株主代表訴訟 |
「株主に対する経営者の説明責任を確保するため、株主代表訴訟の原則は維持されるべきこと、例えば、ある状況で取締役に生じた債務に対し企業が費用の前払いや補償をする権限について明確に規定すること、訴訟を起こした株主が、株式取得の時点で、訴訟の原因について知らなかったこと、あるいは知り得る理由がなかったことを要件とすること等が含まれる。同時に、代表訴訟においては、原告、被告双方が企業の書類に適切にアクセスできることを確保する。」と提起しており、日本の会社法規の不十分さを指摘しています。
新会社法では、株主代表訴訟ができない場合が新たに設定されます。その一つとして、代表訴訟において損害賠償で回復できる実際額と、それに要した費用との比較により相対的に過大である費用が生じる場合にはできないことがうたわれており、議論のあるところです。
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