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時潮

中小企業は経済の背骨
税経新人会全国協議会副理事長山本友晴
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労働組合・日本プロ野球選手会のストライキが9月18日、19日に実施されました。プロ野球の歴史70年間の中で初めての事だそうで世間の注目を浴びました。日本プロ野球機構との労使交渉の結果、新規参入時期などで合意できずにこうなったものです。

スト突入の原因は、機構(経営者)サイドが選手会を交渉相手として真摯に対していなかったことにあるようです。「無礼な事を言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が・・・」の発言がその事を物語っています。

しかし、このストライキを大半の国民が支持しました。道理は通るのとおり、多くの皆さんが声を上げたのです。その結果、今は良い方向へと進みつつあります。これから野球が益々面白くなってくるような気がします。

このような事は、私たちの周りにも散在しているのではと思います。「たかが労働者ごときが経営に口出しするな・・・」との扱いは今や世間には通用しません。特に中小企業の場合には、労使が共に行動していかないと企業の存立そのものが危うくなってしまいます。

経営理念をしっかりと作成し労使が共有する、そのような企業が今最も求められています。その経営理念は、"人を尊重し、社会的な存在を認識し、そして自然環境を考慮したもの"が最低条件です。

ヨーロッパでは、「ヨーロッパ小企業憲章」が制定されています。「小企業はヨーロッパ経済の背骨である。小企業は雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイデアを産み育てる大地である。小企業が優先の政策課題に据えられてはじめて、新しい経済の到来を告げようとするヨーロッパの努力は実を結ぶだろう。」(「中小企業家同友会全国協議会」資料より引用)

これを参考にして、中小企業家同友会が「中小企業憲章」を制定しようと運動を始めています。

この同友会の「中小企業憲章」討議素案では、「地球上の人間一人ひとりはかけがえのない存在です。」にはじまり、「地球環境保全、世界平和、人間らしく生きていくことができる社会の構築の為に果たす中小企業の役割」を懇切丁寧に上げています。そして「それは21世紀の日本社会に生きる国民が自ら時代創造の主体者としての認識をもち、公的機関と協力して時代の要請にふさわしい中小企業・自営業を柱とした産業経済策を実現してこそ可能となります。その歴史的課題の到達への道すじを示すものが中小企業憲章です。」とし、中小企業担当大臣を設置する事も上げています。(「」内は中同協中小企業憲章討議素案より引用)

名実共に中小企業が日本経済のバックボーン(背骨)となる政策の実現の為の提案と言えます。日本では、企業数の99.7%を中小企業が占め、労働者の72.7% がここで働いています。

現在の小泉政権の政策は、大企業中心で、高額納税者優遇がバックボーン(背骨)のものとなっています。税収不足対策として、消費税の税率アップをはじめとする消費税依存度を高める政策や庶民増税策を標榜しています。大法人への課税強化や、大口所得者に対する所得税率の引き上げ策など皆無の状態です。

財政支出も大企業優遇策となっており、中小企業への予算配分は全体の0.2% にとどまっています。(15年度予算)

中小企業の役割を認識し、人間が主人公の社会づくりのためには、国民の立場に立った専門家の役割が益々大きくなってきます。税の専門家として研鑚に励み大いにもの申していきましょう。
文責やまもと・ともはる

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