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時潮

いま、新人会に求められていることは何か
税経新人会全国協議会理事長新国

地方色豊かなかたちで開催された常陸野全国研究集会も、茨城税経新人会の努力で大きな成功のうちに終了しました。この全国研究集会が終わると、地域税経新人会や全国協議会の諸活動は、新しい役員体制のもとで本格的にスタートします。常陸野集会の全体会では討論などの時間が少なかったため割愛せざるを得なかった当面する諸課題について、この場で提起したいと思います。
税制改正問題の論点
昨年来から二元的所得課税について議論をしてきた政府税制調査会は、金融所得の一体課税の導入に向けて見解をまとめ公表しました。それは、株式譲渡損益を含め金融所得間の損益通算を広げ、「貯蓄から投資へ」という金融ビッグバンの構造改革路線に沿った内容になっており、しかも低率での課税で済ませることを目指しており、不公平を拡大することに躊躇していません。そして、これの低率優遇を適用することの要件として、選択的に納税者番号を導入しようとしています。

また、これから年末にかけては定率減税の縮小・廃止の議論が予定されており、増税への道をひたすら歩もうとしています。この問題は、年金財源とりわけ基礎年金の財源との関係で重要視されているものだけに、年金不信で選挙で後退した自民党や政府としても必死に追求してくることが予想されます。

さらに、地方自治体の財政問題と三位一体改革も重要視しなければなりません。国からの支出を減らし、地方への負担を押しつけるこの改革により、自治体での予算編成は一層困難になろうとしています。

私たちはこれらの動きが、
1 なぜスピードが速くなってきているのか、その背景、彼我の力量の変化
2 その分析を土台に、民主的税制の諸原則を堅持しながらどのような対抗軸をもてるのか
など、学者・研究者の意見も学びながら自らのものとしていく努力が必要です。秋のシンポジウムでは、これらについて学習を深めます。
商法の現代化と会計参与制度の論点
私たちは、昨年暮れに法務省に対して商法問題について意見書を提出しました。今回の商法改正は大企業の経済的規制をできる限り緩和し自由化することであること、最低資本金規制の撤廃や会社機関の簡素化など中小企業の規制緩和は大企業規制の自由化との関連で考慮されたものであることなどを主張しました。

ところが今年の5月連休明けに、突然「会計参与」問題が浮上し、あっという間に法制審議会でも確認されてしまいました。日税連はすぐに賛成の態度を表明し、各税理士会でも同様の動きになっています。昨年暮れのパブリックコメントには全く触れられていなかったこの問題が登場した背景には、日税連・日税政の強力な対与党工作があります。さすがに今では昔と違い、55年税理士法改正の時のようなことはないと思われますが、問題点を十分議論することなく賛成した態度は解せません。

会計参与制度の論点は、1 税理士制度への影響2 顧問先との関係3 責任問題の不明確さ等、先の税理士法改正の書面添付制度にも似た問題があり、慎重な対応が求められます。全国協議会では国岡清副理事長を中心に論点解明をして理事会等で議論をしてきました。この10月には法制審議会の改正要綱が決まると思われ、残された時間が余りありませんが、来年の通常国会の審議で解明されるべき論点を明らかにしていかなければなりません。
消費税課税業者の増大と税務援助
先日、東京税理士会の役員研修会で国税庁次長の講演を聞く機会がありました。東京税理士会での講演とあって多少の遠慮をしていたようですが、それでも電子申告の普及や05年分の確定申告事務のくだりでは税理士会の協力が欠かせないと訴えていました。講演の中で税理士の「無償独占」は世界でも珍しい規定であること、大学生は無料法律相談はできるが税金相談はできないこと、電子申告でアメリカの業者が参入希望を言ってきていることなどの話をさりげなくいれながら税務援助の拡大への期待を表明していました。日税連や各税理士会でも、既にこうした期待(?)に対応して税務援助の見直しに着手しています。
これまでの蓄積を生かし、新たな前進のために
全国協議会も創設以来40年になり、役員の世代も大きく変わってきました。現在の役員には、今の課題に先頭集団として取り組みながら、次世代の役員候補にしっかりと新人会の理念や過去の活動などをつないでいく役割もあります。

また、新しい会員にも新人会の先輩諸氏の優れた業績を学び、みずから発展させる立場で学習を深め、各分野毎のエキスパートをめざして取り組まれることを期待しています。
文責にっくにまこと
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