主張・提言

税経新人会全国協議会は、7 月22 日に行われた全国理事会で次の声明を採決し、8月8 日に国税庁長官、財務大臣、朝日新聞社、読売新聞社、毎日新聞社、産経新聞社、東京新聞(中日新聞社)、日本経済新聞社、税理士新聞(エヌピー通信社)に送付しました。


佐川氏の国税庁長官就任に反対する

財務省は7月5日、国税庁幹部の異動人事を発令した。この人事によると新任の国税庁長官に佐川前理財局長が起用されている。この人事について菅官房長官は「適材適所」と評価しているが、佐川氏はいわゆる森友学園問題で理財局長として国会答弁の前面に立ち「売却価格は適正」「契約に関する記録は廃棄」と繰り返し、主張していた人物である。

憲法15 条では「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」として、本来このような疑惑に対し国家公務員として、実態の解明に積極的に取り組むべき責務があることを示唆している。しかしその「全体の奉仕者」の責務を放棄し権力に追随する佐川氏の姿勢は、多くの国民が公務員に寄せる信頼を失墜させ、また議会制民主主義に対する不信感を増長させた。

また、「記録は廃棄」と繰り返し疑惑解明を拒んだ姿勢は、納税者に帳簿書類等の保存を厳しく求め、保存がないことにより過酷な課税を行なっている税務署を統括する国税庁の長として、最もふさわしくない人物である。

税金の使途が不明朗のまま放置し続ける姿勢は、一連の主張が決して佐川氏の個人プレーではなく、財務省自体の本質的問題であることを今回の人事が裏付けている。そして、このことは国民に対して適正な納税を求め、適正な国有財産を管理すべき財務省にとって、組織的欠陥であり改善されなければならない。

私たちは今回の人事を見直し、国民の信頼にたる人物を配置し、また無反省のままこのような人事を続ける財務省の体質についても強く改善を求める。
2017 年7 月22 日
税経新人会 全国協議会
理事長 戸谷 隆夫