主張・提言

税経新人会全国協議会は6月16日に行われた全国常任理事会で、次の要望書を採決し、6月25日に麻生太郎財務大臣宛てに送付しました。

財務大臣 麻生 太郎 殿
税経新人会全国協議会
理事長 土屋 信行

佐川前国税庁長官の虚偽答弁と財務省内の公文書改ざんに抗議する

私たち税経新人会全国協議会は、税理士を中心とした全国で約千名の会員が参加する任意 団体で、「憲法にもとづく国民の権利を擁護する立場から」(会則第3条)諸活動をおこなっています。そのような立場から今回の森友問題について意見を述べたいと思います。
森友学園問題をめぐる財務省の不祥事は、大きく分けて以下の3つの問題があげられます。

第一に、2017年2月24日に財務省理財局長の佐川宣寿氏(当時)が宮本岳志衆議院議員 の質問に対して「本件につきましては、平成28年6月の売買契約締結をもちまして既に終了してございますので、記録が残っていないということでございます。」と答弁したことです。この答弁は、その後の調査の結果から虚偽答弁であったことが明らかになりました。そして、そのことは国会を国権の最高機関と定めた憲法41条を冒涜するものであるとともに、「すべ ての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と定めた憲法第15条2項にも悖るものです。

第二に、この理財局長の答弁の前後に応接録等の廃棄が進められたことです。これは、2017年2月18日の衆議院予算委員会での安倍総理大臣の「私や妻が関係したということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきり申し上げておきたい。」との答弁を受けて行われたことと見られ、同年2月から5月初旬にわたって行われたことでした。これも、時の政権を忖度した重大な問題です。こんなことを許せば歴史を捏造することもできることになります。

第三の問題は、その後行われた公文書の改ざんです。2017年5月に東京地裁に証拠保全の申し立てが行われ文書の廃棄はされなくなりましたが、その後残った公文書の改ざんが始 まりました。これは、森友問題が国会で大きく取り上げられている中で、国会が紛糾するこ とから逃れることが目的であったと思われます。これが 2018年3月2日に朝日新聞がスクー プしたことで公になったのです。そもそも、公文書の改ざんは、犯罪です(刑法155条)。

しかし、それ以前に公文書を改ざんして、これを国会などに提出することは法治国家として その存立を危うくする程の重大な問題です。戦前、政府は大本営発表として政府に都合の良い(あるいは嘘の)情報を国民に流し、その結果あの悲惨な戦争へと突き進んでいきました。今回の、公文書改ざんの問題を軽視したら、いずれ又あの戦争への道へ日本が進んでいきかねないのです。

さらに、私たち税理士の団体として看過できないことは、虚偽答弁した佐川宣寿氏の問題です。同氏は、財務省理財局長を退任した後に税務執行の最高責任者である国税庁長官に就 任しました(その後辞任)。 国会という国権の最高機関であるものをないと虚偽答弁するよ うな人物が税務執行の最高責任者となったことに私たちは不信感を感じざるを得ません。

また、私たち税理士の監督官庁である財務省において組織ぐるみで公文書改ざんをしたことも重大です。税務調査の現場で虚偽答弁や帳簿資料の改ざん等をすれば、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処せられます(国税通則法127条2号・3号)。

納税者国民に対し国家権力をもって税務執行する官庁である財務省、国税庁が虚偽答弁、公文書の廃棄改ざんをするということは絶対に許されるものではありません。私たちは、財務省が二度とこのような事態を引き起こすことのない組織に生まれかわることを強く求めます。そのためには同省の最高責任者である貴職が責任を取って辞任することが絶対に必要であると考えます。よって、私たち税経新人会全国協議会は貴職の辞任を強く要求するものです。
以上